1~5位| 旅人が「行きたい」と選んだ場所

「日本橋旅人会が選ぶ『行きたい国・地域ランキング』2026年」、62の国・地域を下位から紹介してきましたが、いよいよトップ5の発表です。

5位から並んだのは、新疆ウイグル自治区、キューバ、アフガニスタン、イエメン、そしてペルー。この5つを見ただけでも、今回のランキングが一般的な海外旅行人気ランキングとは大きく異なることが分かります。

世界的な観光地だけでなく、現在は旅行が容易ではない場所も上位に入りました。「行きやすい場所」ではなく、純粋に「行ってみたい」「自分の目で見てみたい」と思う場所を選ぶという今回のランキング。その特徴が最も鮮明に現れたトップ5となりました。

5位 新疆ウイグル自治区

5位は中国西部の新疆ウイグル自治区。中国全土の約6分の1を占める広大な地域で、天山山脈、タクラマカン砂漠、タリム盆地など、東部の中国とはまったく異なる景観が広がっています。かつてシルクロードの主要ルートが通った土地でもあり、カシュガル、トルファン、ホータンなど、旅人を惹きつける地名が数多くあります。

特にカシュガルからパキスタン方面へ続くルートや、タクラマカン砂漠を巡る旅は、「ユーラシア大陸を旅している」という感覚を強く味わえそうです。ウイグル族をはじめとするさまざまな民族の文化、イスラム建築、バザール、羊肉を中心とした食文化なども大きな魅力。「中国へ行きたい」ではなく、「新疆へ行きたい」として5位に入ったこと自体が、今回のランキングらしい結果です。

4位 キューバ

4位はカリブ海のキューバ。首都ハバナの旧市街を走るクラシックカー、スペイン植民地時代の建築、音楽が聞こえてくる街角――。キューバには、ほかの国とは明らかに違う独特の空気があります。しかし、旅人が見てみたいのは観光名所だけではないでしょう。

長年にわたり独自の政治・経済体制を歩んできた国で、人々はどのような生活をしているのか。現在のキューバ社会はどうなっているのか。街を歩き、人と出会い、実際の日常に触れてみることそのものが旅の目的になります。世界が急速に変化する中で、今のキューバを見ておきたいと思わせることも、4位という高順位につながったのかもしれません。

3位 アフガニスタン

第3位はアフガニスタン。一般的な観光ランキングで、この国が3位に登場することはまずないでしょう。しかし、長い歴史を振り返れば、アフガニスタンは中央アジア、南アジア、イラン世界を結ぶ重要な場所でした。ヒンドゥークシュの険しい山々、古くから東西を結んできた交易路、さまざまな民族と文化――。ニュースだけでは決して分からない世界があります。

バーミヤン、ヘラート、マザーリシャリーフ、ワハーン回廊など、旅や歴史に興味を持つ人なら、一度は地図上で目を止める場所も少なくありません。もちろん、現在の政治・治安状況を考えれば、単純に「旅行をおすすめします」と言える場所ではありません。それでも、いつか安心して旅ができる日が来るなら、この国を自分の目で見てみたい。その思いも含めての第3位です。

2位 イエメン

そして第2位は、アラビア半島南西部のイエメン。この順位も、今回のランキングを象徴する結果の一つです。首都サナアには、幾何学模様で飾られた高層の伝統建築が密集し、独特の旧市街を形成しています。シバームには「砂漠のマンハッタン」とも呼ばれる泥レンガの高層建築群があります。

さらに本土から離れたソコトラ島には、竜血樹をはじめとする固有の動植物が生息し、まるで別の惑星のような景観が広がります。古代から乳香などの交易で栄えた歴史、アラビア独特の街並み、砂漠、山岳、インド洋――。旅人の好奇心を刺激する要素にあふれた国です。

一方、長年にわたる紛争によって、現在も旅行には大きな危険を伴います。だからこそ、「今行ける場所」という条件を外し、いつか行ってみたい場所を考えたとき、これほど強く名前が挙がる国なのかもしれません。

そしてイエメンを上回ったのは、ただ一つでした。

1位 ペルー

「日本橋旅人会が選ぶ『行きたい国・地域ランキング』2026年」。第1位は、ペルーです。世界遺産マチュ・ピチュは、あまりにも有名です。アンデスの山中に残されたインカ帝国の都市。その景観だけでも、ペルーを一度は訪れたいと思わせる十分な理由があります。

しかし、ペルーの魅力はマチュ・ピチュだけではありません。インカ帝国の都だったクスコ、巨大な地上絵が残るナスカ、標高3,800メートルを超えるチチカカ湖、太平洋岸の砂漠地帯、アンデスの山村、そして東へ向かえばアマゾンの熱帯雨林へと続きます。インカ以前にも数多くの文明が栄え、それぞれが巨大建築や遺跡、独特の文化を残しました。

また、先住民文化とスペイン植民地時代以降の文化が重なり合い、現在の人々の暮らし、祭り、衣装、料理にもペルーならではの多様性があります。遺跡を見たい。アンデスを歩きたい。鉄道に乗りたい。市場へ行きたい。現地の料理を食べたい。人々の暮らしを見たい。さまざまなタイプの旅人に、それぞれ違った「行ってみたい理由」を与えてくれる国。それが、10人の旅人による今回の選考で第1位となったペルーでした。

62の国と地域「行きたい」理由は人それぞれ

62位のジブチから始まり、最後にたどり着いた1位のペルー。改めてランキング全体を見ると、フランス、イタリア、イギリスなど世界を代表する観光国が下位に位置する一方、イエメンやアフガニスタンがトップ3に入りました。また、新疆、チベット、ラダック、カルムイク、サハ、雲南、貴州など、国ではなく特定の地域を選ぶ人もいました。これは「どの国が優れているか」を決めるランキングではありません。

旅人10人が、これからどこへ行ってみたいのか。その気持ちを集めてみた結果です。便利だから行きたい人もいる。有名だから見てみたい人もいる。逆に、行きにくいからこそ気になる人もいる。歴史、民族、食、鉄道、道路、遺跡、大自然、国境――旅に出たい理由は人によって違います。

そして、まだ知らない場所が世界にある限り、次に行きたい場所もきっとなくなりません。あなたなら、今いちばん行ってみたい国・地域はどこですか?